兵庫県 T.S 様 ご依頼品
ディアゴスティーニ 1/90Scale 木製キット
織田信長が天下布武を掲げた居城、安土城。日本の城の中でもトップクラスの人気を誇り、多数の模型が販売されてきました。その中でも決定版と言えるのが、分冊百科で有名なディアゴスティーニ社から発売された【週間安土城を作る】です! 大スケールで安土城を楽しめるだけでなく、内部の部屋が全て分かれているという極めて高い再現度で話題を呼びました。
100合意上にわたる超大作、NAGAEアートプロダクションが挑みました! もちろんそのまま作るだけではございませんので、 詳細は以下の記事をご覧下さい。
あらゆる点をこだわり抜いた本キット、組み立ても実際の建造物のエッセンスが込められた設計になっています。柱や梁等はもちろん木製パーツで形作られており、一つ一つ差し込んで組んでいきます。内部が覗き込める様に階層毎に分割されているので、完成イメージに反して一つ一つのパーツはあまり大きく作られていないのも特徴です。組み立ては説明書の順に進めていかないとうまく噛み合ない部分が出てくるため、行程を飛ばしたり見落としたりしない様に気をつけましょう。
彩色を進めながら組立てるのが基本ですが、ほとんどが木製であり半端な希釈で塗装してしまうと木が塗料を吸って綺麗に発色しない事がございます。しっかり発色するまで、乾燥を挟みながら様子を見て色を付けましょう。
本体の下に入る石垣は、キットの状態でほぼ完成しています。しかしそのままですと石のエッジが丸まっており、安土城本来の剛健な印象の石垣にはなりません。そのため、全ての石を彫刻し直し! 気が遠くなる様な作業でしたが、印象がぐっと良くなりました。
骨組み、内装、外壁と組んでいき、最後に瓦屋根を取付けるのですが、キットではシリコン製の瓦シートを貼る様に指示されています。シリコンは柔らかく形状に追従しやすい上にカットが容易な事から採用された様ですが、シリコンに定着する塗料は種類が限られており瓦本来の深い色味が出せないばかりでなく、ホコリが付着しやすく経年劣化でひび割れを起こしやすい点も相まって、長い間干渉するには適しておりません。そこで今回の作例は、瓦を全てレジンキャストに置き換えて貼り込みました!
レジン置き換えと書くのは簡単ですが、作業は困難を極めました。まず複製をする段階で簡易型としてシリコンで型どるのですが、シリコン同士では吸着してしまうので離型剤が強力に効く様に何度も調整を繰り返して、完全な状態で複製出来る様になるまでで相応の時間を要しました。
複製さえ出来れば後は数を合わせて貼り込むだけ・・・といきたい所でしたが、その後に待ちうける屋根の形状に合わせた曲げ・切り加工が更に厄介でした。レジン樹脂の固さはプラスチックに近く、シリコンの様にさくさくとカットが進みません。カットした瓦は屋根の形状に合わせて曲げなければならず、その度に熱湯で柔らかくしてから曲げ加工を行いました。
更に本キット最大の醍醐味である内部の展開を活かして仕上げますので、分割されている所が違和感がでない様切り口と高さをぴったり合わせなければなりません。こうした調整が最後まで続きました。
幾多の困難を乗り越え、安土城の完成です! その出来映えは画像を見て頂ければお分かり頂ける事と思います・・・。
分冊百科の超ボリュームのキットも、NAGAEアートプロダクションにお任せ頂ければ最高の完成に仕上げます!