・兵庫県 T.U 様 ご依頼品
・天賞堂 1/80 Scale (HO) ダイキャスト完成品改造
電気機関車の中で最もバリエーションが多いと言えるEF58は、初期のデッキ付き車輛から後期の箱型車輛に改修された後も、数多くの車輛がマイナーチェンジを繰り返してきました。
今回製作した16号機は広島で運用された車輛で、貨物牽引のためEF58を重連結して走らせていた姿が印象的でした。ひさしが一体になった前面や、PS22Bに換装されたパンタグラフ等特徴的な外観の変更点があり、EF58ファンの中で根強い人気を誇る車輛です。
今回は天賞堂製の完成品を改造して再現しました!
基にした完成品と16号機の大まかな違いは以下になります。
・前面窓を大窓に変更
・スノープローの撤去、排しょう器の追加
・前面デッキ横にステップを追加
・ひさしを左右一体型に変更
・はしごをロングタイプに変更
・パンタグラフをPS22Bに変更
・側面ステップミゾ埋め
加工箇所自体は部分的に行える範囲ですが、今回最大の問題は窓の加工でした。加工が大変なダイキャストを削り込んで左右を揃えて窓の幅を広げるだけでなく、完成品特有の押し込み型の窓ガラス部品を用意しないとボディの厚み(およそ2ミリ!)がもろに段差になってしまい、ブラスキットでは比較的容易な加工でも素材がかわるだけで困難な作業となりました。窓の幅はダイヤモンドヤスリで根気よく削り、ガラスは寸法を計って設計図を起こして、新規で部品を作製して他のガラスパーツと比べても遜色ない仕上がりにしました。
ひさし部分もダイキャストボディにディティールが入っていた部分を削り飛ばして、真鍮製のひさしパーツを取付けています。ここで問題なのが、ダイキャストは真鍮用のハンダを使うことが出来ず、ダイキャスト様のハンダを使うと温度が高すぎて真鍮に使うことが出来ない点です。今回はハンダ付けを避けて、なるべくパーツ同士がピッタリ合う様に調整してから、接着剤で固定しました。
天賞堂製ダイキャストモデルはボディの本体をダイキャストで作り、残りの部品はプラやナイロン等で構成してあります。そのため箇所によって加工や固定の方法を変えていかなければなりません。特に色を落とす際はどこまでが金属部品なのかをしっかり確認しないと、シンナーに浸けてから取り返しがつかなくなってしまう状況になってしまう為、くれぐれも注意しましょう。
塗装は完成品の色に合わせて予め調色しておき、加工完了後に調色したカラーをエアブラシで吹き付けて美しく仕上げました。
前面のナンバー表記はプレートが用意されていましたが、より実物感を出すためメタルシールを貼り込んで再現してあります。
完成した16号機は、まるでもとからこの形だった様に自然な完成品に仕上がりました!
今回の改造はこれまでの鉄道模型の中でもかなり変則的な対応を求められました。どのような素材でも一級品の完成品に仕上げますので、こんな改造できるかな・・・とお考えの方は、是非一度ご連絡下さい!