建築限界観測車
・埼玉県 M.M 様 ご依頼品
・ワールド工芸 1/80 Scale ブラスキット
鉄道と言えば新幹線や特急車輛、通勤車輛が人気の大部分を占めていますが、事業車輛と呼ばれるいわゆる働く電車もコアな人気を有しています。
この車輛は駅舎やトンネル等の建築の際、レールを走る車輛が触れてしまう箇所が無いかを確認する為の車輛で、前後と中間から生えている矢羽根が特徴的です。この矢羽根がかんざしにみえることや、検査車輛という都合上レールをゆっくり走る姿がしずしずと歩く花魁のように見えるという二つの点から、おいらんの通称で親しまれました。
本機は戦後余剰の客車を改造して作られており、それぞれ種車や改造時期が異なるため同じオヤ31でも番号ごとに全く形状が異なる車輛もあります。
今回は13号機の末期を再現しました!
キットの箱を開けてみて、おびただしい数の矢羽根の部品に尻込みした方がいらっしゃるのではないでしょうか。総計およそ140本弱の矢羽根は可動を活かして作る事が可能ですが、その為には高度なハンダ付けの精度と正確なパーツの取付け能力が要求されます。本作例では可動を活かして製作しました!
可動は取扱説明書に従い、ロックタイト製のゴム形接着剤を内側に回して弾性を持たせることでテンションが維持出来るようになりますが、開閉時両方とも部品にロックをかける機構が存在しないので、定位置に収まらない構造になっています。
ライトは説明書の指示に従って向きを決めて接着しますが、ライト基部が同梱されていてもライトのクリア部分はついておりません。今回はガイアノーツ製の紫外線で硬化するUVクリアジェルを充填してクリア部分を再現しました。
塗装はなるべく矢羽根に塗料が回り過ぎないように(動かなくなる恐れ有り!)慎重に吹き重ねて行きます。今回は先に矢羽根にやさしく塗装してから、矢羽根をマスキングして全体を塗装しました。
完成したおいらん車は、特異ながらも気品溢れる姿に仕上がりました! 建築限界観測車という非常に特殊な車輛ながらも、事業車輛の中で群を抜いた人気なのは、この姿を見ると分かる気がしますね。