FUJIYAMA HOゲージ ブラス製生地仕上げ完成品の塗装
世界最大の機関車と言えばアメリカのビッグボーイと言われていますが、一説にはビッグボーイ以上の超重量級機関車が、このH8アレゲニーです。1941年にチェサピーク&オハイオ鉄道(C&O)が石炭を運搬するアレゲーニー山脈から名前をとられて運用が開始されました。
100輛以上の石炭車が牽引可能な破格のエンジンパワーでアレゲーニー山脈を突き進み、20年に渡り運用されました。しかしあまりの重量には線路の方がもたず、H8が通る線路は保線周期が短かったようです。
時代が進みディーゼル化や電化の波が押し寄せると同時にH8は活躍の場を狭められていき、蒸気機関車としては比較的短命で歴史の舞台から降りたのでした。
H8はボイラー車の車輪配置が2-6-6-6の蒸気機関車に与えられた名称ですが、製造されたのはこのアレゲニーとヴァージニア鉄道のブルーリッジの2クラスのみでした。
今回はモンスター級の重機関車をリペイントしました!
今回はお客様から所持している同型の彩色済み完成品と並べる為、見本に合わせて生地仕上げの車体を全塗装して欲しいというご依頼です。予め組立てされた車輛を分解してでの作業になります。
ただ今回の塗装作業には大きな問題がありました。製作した完成品は生地仕上げであるためか塗装を想定していない組立て方がされており、ボディの上下を完全に分解する事が出来ませんでした。
シリンダー周りは完全に外せましたが、肝心のボディは接合部がガッチリハンダづけされており上下に外す事はどうしても出来なかったので、止むなくマスキングしながらのプライマーかけ・塗装となりました。
また生地仕上げとはいえ表面の状態をよく見ると表面保護のクリアー層に小さな埃が入り込んでおり、クリアー層を落とす必要がありました。
塗装は先ず全周に走る白ラインを塗装してからマスキングして、全体の黒を吹きかける手順です。この車輛で難しいのは塗り分けでなく奥の奥までしっかり色を定着させる事です。
数ある蒸気機関車の中でも特に凹凸が多いボディーな上に前途の理由で完全に分解出来なかったので、様々な角度から時には大吹き・細吹きとエアブラシの吹き付け方を変えてくまなく塗装していきます。
後部のボイラー室は特に形状が入り組んでいるので、一見キレイに塗られていても角度を変えてみると色が入っていないなんて事が起こります。
窓の小さな隙間から慎重に塗装して、見える限りの角度は全て色を乗せました!
組立ての注意点はシリンダーロッドです。どのSLも同様ですがロッド周りは大変デリケートな構造で、少しでも軸がずれてしまうとまともに走行しなくなってしまいます。
核になる部分はハンダづけされているものの、無理な力を入れると外れてしまったり歪んでしまったりします。また専用部品が使われている事が多く万が一紛失してしまうと取り返しがつかなくなってしまいますので、組立てからパーツの管理までくれぐれも慎重に取り扱いましょう。
完成したアレゲニーは重量感抜群の存在として生まれ変わりました。
弊社では国内車輛はもちろんですが、今回の様な海外車輛もバッチリ受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。