FAB 1/87 Scale (HOナロー) ブラス製完成品フルリペイント
デッキ付の電気機関車は戦前より製造されており、このEF57は戦時中に製造された車輛です。1号機に当たる車輛はEF56の改造機で、性能の優秀さからそのまま別の形式を振られて生産されました。
戦時中に設計・生産された車輛は厳しい情勢のもとで作られた為構造の簡易化や鋼材の節約等がされ、車輛の性能や安全性に難を抱えたものが散見しましたが、EF57はEF56の改造機がベースとはいえそのような状況下でも優秀な性能が評価され、戦後もそのままの姿で使用され続けました。
ちなみに1号機は上記の経緯によりパンタグラフの位置がEF56と同じ中央に集まったスタイルをとっており、本格的に量産された2号機以降は両端にパンタグラフが設置されている点が特徴です。
今回は9号機を再現しました!
完成品のリペイントですので、まずは分解をして色を剥がします。分解の際の注意点は、台車周り(特にデッキ)は非常に繊細なパーツで構成されており破損しやすいため、分解や組立ての際にくれぐれも曲げたり折ったりしないようにしましょう。ヘッドライトの豆電球は綺麗に取り出せればそのまま使えるのですが、場合によっては接着剤がガッチリ固まってしまっていてなかなか外せないことがあります。万が一の為に予備の豆電球を確保する事をおススメ致します。
ピノチオ製の車輛は焼き付け塗装が施されており、強固な塗膜で簡単に色がこすれたり欠けたりしない点が強みですが、前面リペイントとなるとこの簡単に落ちない塗料が厄介な存在になります。シンナーでは落ちないので、専用の剥離剤やリューター・キサゲ等でがっちり剥がさなければなりません。面倒がってそのまま上から塗装してしまうと、ルーバーの様な細かなモールドが埋まってしまう危険性があります。
色を完全に剥がしたら、いよいよリペイントです! お客様ご指定のぶどう色2号を全体に吹き付けます。この様な色は細かな埃が表面に付着するととても目立つので、塗装中についてしまった際は完全乾燥後に細かなめのサンドペーパーで磨き、再度薄く塗装します。
屋根の塗り分けが終わったらウレタンコートを施します。この手の電気機関車はイメージから半光沢仕上げをご希望されるお客様もいらっしゃいますが、今回の様にウレタンクリアーをかける事で現在では見る事が叶わないロールアウト時の美しい姿を眺める事が出来ます! 重厚なデッキとのコントラストが非常に映えますね。
最後は分解した時と同じ手順で組立てて完成! 組立て後は通電するかどうかしっかり確認してテスト走行・点灯を行いましょう。
完成した車輛は、厳しい状況の中で活躍した傑作機に相応しい輝きを放つ仕上がりになりました!
ウレタンが似合う車輛は新幹線や特急だけでは御座いません。本作例を通して光沢仕上げの素晴らしさがより多くの鉄道ファンに伝わればと願います。