カツミ HOゲージ ブラスキット製作
1955年に東急玉川線で導入された当時最新鋭の技術を惜しみなく投じられた車輛が、このデハ200です。
後にSE車等に用いられる連接車輛をいち早く導入した他、当時まだ普及しきっていなかった平行カルダン駆動や超低床構造等の最先端技術が結集された当機は201~206号機の6編成が作成され、華々しいデビューを飾りました。しかし最新鋭故に部品の供給に難があり、構造も他の車輛にはない特有の機構がいくつも組み込まれていた為に整備の便が悪く、更にドアステップの動作不良や乗り心地の悪さが祟り、製造から14年で玉川線からどこかに移籍する事もなく除籍となってしまいました。
それでも可愛らしい外観から「ペコちゃん」「いもむし」と愛称が付けられ玉川線のマスコット的存在として人気を集めていました。
今回はペコちゃんを後期のカラーで現代に蘇らせます!
構造の特殊さは実車でも模型でも同じで、他の車輛とは一味違うクセがあります。
独特な前面と車体は微妙な曲線を合わせるのが難しく、どうしても曲面が合わない部分はハンダを厚盛りして削り込み、ラインを繋げる形で成型していきます。パーツ構成は単純ながらも、この合わせが中々難しいキットです。
また動力周りもモーターと車輪にACEジョイントを噛ませて繋げるだけの構造ではなく、台車の上側(室内から丸々見える位置)間にクランクのような構成のシャフトとギアを組み合わせたボックスを配して、床下を経由して車輪を回すという特殊な機構が採用されています。普段以上に走行テストを繰り返して、しっかり動作するよう入念にチェックしましょう。
今回はお客様からのご要望で、運用後期に採用された暗めのクリーム色が採用された車輛を再現しました。色味は参考として預かったMODEMO製Nゲージに合わせております。
前面の曲面に入る微妙なカーブが命で、少しでもカーブの入る位置が変わると全く印象が異なってしまうので、両面ともラインが合うように何度も見比べながら慎重にマスキングを施しました。
前面の方向幕は雰囲気が出るように光沢紙に印字したものを切り取って使用しました。
往年のペコちゃんの姿をまるまる切り取ったような可愛らしさ溢れる車輛に仕上がりました!
実は弊社でもご依頼が多い車輛ですが、どれも同じ仕様でオーダーが入らないという珍しい車輛でもあります。もちろんどんな仕様でも再現致しますので、お気軽にご相談下さい!