「ファイブスター物語」より
・岐阜県 T.T 様 ご依頼品
・海洋堂 1/220 Scale レジンキャストキット
数々のインパクトあるデザインが特徴のMHたちですが、ヤクトミラージュは立っているだけで禍々しいかっこよさが伝わってくるMHですね。他のMHの倍以上ある背丈からは想像出来ない機動性能も持ち、ツインタワーを装備すれば名実共に最強のマシンになりますね。
ヤクトミラージュはこれまでいくつかのキットが発表されましたが、今回のキットはパーツ構成は1/144のものと同じながらもダウンサイジングされた1/220を製作しました。
完成すると20センチ弱になるキットですが、構成部品数は以前弊社で製作した1/144と同等です。一目ではどこの物か分からない部品だらけですので、説明書をたよりに自分がどの部品を触っているか把握しながら進めましょう。また部品数に加えて非常に入り組んだ複雑なデザインですので、パーツ同士の位置関係がどうしても分かり辛いキットとなっております。キットの完成見本やイラストを参考にしましょう!
形状やディテールは非常に細かく作り込まれております。もちろんパーティングラインも全ての部品を走っているので、下地処理だけでも相当な手間がかかります。くれぐれもモールドやエッジを飛ばさないように、処理を進めます。
本来キットではベイル(盾の様な物)が両腕ともに付属して、どちらも展開された複腕に固定するのですが、今回はお客様のご要望で右の複腕をたたんでベイルは装着しない仕様に改めました。収納時の複腕はキットでは付属していないので、展開されたパーツを切り刻んで折り畳んだ状態を再現しています。
塗装でのポイントは、ここでもやはり部品の把握です。どの部品がどこまでどの色なのかわかっていないと、塗り分け時に一カ所ずつ調べるはめになり膨大な時間を要してしまいます。どこまでが同じ色の流れなのか、特に腕と脚は混同しがちなので気をつけて塗りわけましょう。
このキットの最後にして最大の難関は組立てです! 小さい上に部品数がもの凄く多いので、サクサク組立てる事は出来ません。また通常ならば深く金属線を軸打ちして十分な補強を施して行きますが、今回は細くて薄い部品だらけですのでどうしても強度が確保しきれない部分が出てきてしまいます。瞬間接着剤等を駆使しながら、くれぐれも破損しないように組んで行きます。
このヤクトミラージュはツインタワーの設定追加に伴い新規に起こされたデザインですので、以前弊社で製作した1/144版とは細部が異なります。全体的に人間に近いシルエットにアレンジされている為か、ちゃんと組立てるとこのプロポーションでもきっちり自立します!(流石に肩アーマーを取付けると後ろに自重負けしてしまいますが・・・) このキットに限らずともFSS系のキットはきちんと立つ物が多く、原型師の技術力の高さが伺えます。
苦労の末に完成したヤクトミラージュは、小さくても禍々しさとかっこよさが前面に溢れ出す完成品に仕上がりました!