・千葉県 C.K様 ご依頼品
ハセガワ 1/32Scale プラスチックキット
今回ご紹介致しますキットはハセガワ1/32 Me163Bコメートです。
コメート…ドイツ語で彗星の意
ロケット推進で一気に高度まで上がる姿は彗星そのものだったのでしょう。
航空機史上初のロケット推進戦闘機である本機はドイツ本国に迫る連合国機の迎撃機として活躍しました。
しかしやがて連合国側では本機の航続距離が短い事が判明し、配備された飛行場を避けるルートを取られ
会敵する事も出来なくなりました。
ロケット推進の機体が故に、使用する燃料が特殊で保管・管理が出来る施設が他に無く
また離陸時は高温のガスを噴出する為にその対策がされた飛行場からしか飛び立てなかったのが理由です。
本機に使用された燃料、高濃度過酸化水素とヒドラジンは非常に爆発性・腐食性が高く
不時着する際に機体は無事でも内部で燃料漏れを起こした場合、パイロットが浴びて重傷を負ったそうです。
それでは早速キットを見ていきましょう!
全長5.75m 全幅9.3mの小さな機体ではありますが、1/32のスケールでは大きく立派に見えます。
本キットの金型は随分古い物の様で、組立は現行のキットと変わりありませんがモールドが全て凸モールドです。
胴体や翼の合わせ目は消す必要があるため、凸モールドの処理は悩む箇所です。
全体的に凸を凹に彫り直すか、合わせ目消しの段階で消えた部分だけ後で復元するかです。
モールドの数や形状を見て適宜お好きな方で処理しましょう。
モールドの処理に若干手間が掛かりますが、セオリー通りにコクピット内部を塗装してから
胴体に組み込んで組立てて行きます。
塗装前に手を入れた箇所はフラップ等可動する箇所は一部切れ目を入れて別パーツ風にしてあります。
スキッドも後ハメ加工しておきました。
組立が完了したら次は塗装です。
お客様から頂いた資料に合わせて塗装していきます。
腹側のライトブルーを塗装し後部の一部をマスキングしたら基本のライトグリーンを塗装します。
コクピットの周囲は境目が曖昧になる様に塗装しました。
続いてドイツ機特有のスプリッターの塗装です。
資料をよく見て始点終点を見定めてマスキングして行けば左程難しい塗装ではありません。
当初のお打合せで使い込んだ雰囲気を再現とのことでしたので、実はライトグリーンの塗装の段階から
パネル毎に若干色味を変えて塗装してあります。
迷彩部も同様で、ハッキリ発色させる箇所と下地のグリーンを透けさせる箇所と塗装していきました。
塗装が完了したら光沢のクリアを吹き、表面をツルツルにした上でデカールを貼ります。
この段階で気付いたのですが、TやCのマークが機体に見られます。
恐らくこれが件の燃料の吸入口なのでしょうね。
T液はコクピットの真後ろにあります、これでは着陸も命がけだった事でしょうね。
デカールを貼るとどうしてもその部分だけ綺麗で周囲と違和感が出てしまいますので
汚くならない様に注意しながら、グラデーションでデカールと塗装部を馴染ませてやります。
最後に使用感を出す為に若干のチッピングを施して完成です。
ロケット推進の戦闘機、撃墜スコアは9機だそうです。
3分で1万2000mの高度に達するものの燃料が足りず8分ほどしか飛べなかったそうなのです。
もっと早く世にでていれば…もしかしたらもっと活躍していたかもしれません。
ロケット推進云々と言っていますが良く見ると前面に可愛らしいプロペラがついていますよね。
あれ?ロケットじゃないの?って思われた方もいらっしゃると思いますが
あれ実は発電機を回す為のものだそうです。
ちっちゃくて、危険な燃料を積んでいてとなんだかフグのような戦闘機ですが
このプロペラが可愛さを演出していますよね。