





メーカー不明 Oゲージ ブラス製生地仕上げ完成品の塗装
日本ではNゲージ、HOゲージが鉄道模型シェアの大半を占めていますが、海外ではOゲージも他の規格に負けない人気を誇っています。もちろん日本でも新商品が各メーカーからリリースされ続けており、サイズ的にもギミック的にも鉄道模型の究極系として人気を得ています。
日本ではOJゲージと称され、1/45スケールに落とし込まれていますが、レール幅等の都合上海外ではスケールが異なります。ヨーロッパでは日本と同様で、イギリスでは1/43.5、アメリカでは1/48で統一されているのです。
今回はメーカーは不明なのですがアメリカ製、ボストンで運行していた路面電車を製作しました!
本作例は生地仕上げの完成品をお預かりして、実車に合わせて塗装をした物です。
お客様のご希望で、パンタグラフ等の屋上機器は取付けずに組み上げておりますので、予めご了承下さい。
まずは全体を分解して、生地を保護する為にかけられたクリアー層をシンナーで剥がします。
生地仕上げの車輌は一見綺麗に見えても、よく見ると塗膜に埃が多量に咬んでいる事が多く、また後述でも触れますが本完成品はモールドが非常に薄いためこの上から塗装すると線が消えてしまう為です。
生地仕上げの完成品では良くある事なのですが、塗装して組て立てる事を想定していない構成がされており、本作例では運転席のシート及び運転台がハンダで強固に固定されていて外す事が出来ませんでした。
無理矢理外そうとしてボディに傷や歪みを作ってはいけない為、どこまで分解出来るかを検証しながら作業しましょう。
Oゲージは商品によって部品の量に極端な差があり、乗降扉の開閉や室内の細かなインテリア再現等に力を入れている商品は、ギミックに比例して部品点数が多くなります。
どこに何がつくのかが後で分からなくならない様、必ず分解する行程を撮影する等して記録して、元通りに復元出来る様に対応する必要があります。特にOゲージでは実車通りパンタグラフから集電出来る構造になっている場合が多く、その配線を間違わない様に注意しましょう。
ボディが非常に大きい為、塗装も他のスケールと比べると大変です。
幸いにも今回は連接車輌ですので丁度真ん中で区切られており、取り回しには苦労しませんでしたが、分割が入る分横に走る各ラインの帳尻を合わせる事が苦労しました。
塗装で気をつけたいのは、前途で触れた通りにモールドや凹凸が非常に薄く、厚く塗るとあっという間に消えてしまう所です。プラモデルならモールドを彫り直すという工程を入れますが、真鍮相手ですとそう簡単に出来る作業ではない上に厚みも薄い為、なるべく薄く色を乗せる他ありません。
特にHゴムの塗り分けが大変シビアで、ほとんどマスキングテープでHゴムの形を作っていくような作業でした。
側面に入るTマークはデカールで再現しましたが、円内側の白部分は塗装で塗り分けてから黒のみで出力したデカールを貼り、雰囲気を合わせました。
完成したボストン路面電車は、0ゲージの貫禄と迫力溢れる車輌に仕上がりました!