今回ご紹介致します作品は機動戦士ガンダム 逆襲のシャーより
ネオジオン軍軽巡洋艦ムサカのご紹介です。
どなたかが製作されたガレージキット完成品として販売されていた物を購入されたとの事ですが
壊れているので修理をご依頼されると同時に色味もお客様の好みの物へ変更したいとの事でした。
元の塗装は作者のオリジナル塗分けなのか、セル画の影色部分もマスキングして塗分けた様な
アニメ塗りのような仕上げでしたが、艦船のレジンキットで定評のあるFleetmoさんの作例の様な色味をご希望との事で今回参考にさせていただきました。
さっそく作業の解説を!
レジンキット完成品のフルリペイントは、ご相談いただく事も多いのですが
フィギュアのレジン製キットのリペイントが圧倒的に多いので今回の様な艦船やメカ系のリペイントは珍しいご依頼です。
しかし、今まで培ったノウハウがありますので問題無く対応出来ます。
作業は先ず色落としから始まります。
バラせるパーツはバラシて、溶剤で洗って塗料を落とします。
今回の様なレジン製キットや鉄道模型・ミニカーの様に金属製の物は溶剤で素材自体が溶ける事はありませんので、安心して溶剤に漬けられる…筈でしたが、
試しにパーツの端を洗ってみた所、衝撃の事実が!!!
なんとレジンキットをベースに各所プラ材でディテールアップされておりました。
このまま溶剤に漬けるとプラ材は溶けてしまいますので、一旦溶剤荒いはストップし別の方法に切り替えて対応します。
手間はかかりますが、紙やすりで全体を磨いて今塗られている塗料を落としていきます。
お見積もりの段階では溶剤にドボンで色落としする予定で金額を出させていただきましたがここに来て思わぬ誤算です。
見積もりの段階でそこまで見抜けなかった自分を恨みつつ、紙やすりで磨いていきました。
こういった不測の事態があるとご依頼全体のスケジュールに影響が出てしまうのが悔しい所です。
下地処理の次は曲がったスジボリのラインの修正です。
全体的に深いスジボリが入っていますが、場所によってはラインが寄れていたりラインを入れた際に刃が滑ってついた様なキズが散見されましたので出来る範囲でパテ埋めからの掘り直しで見栄えが良くなるようにいたしました。
ライン修正の次は塗装です。
発色の強弱を考えて塗装の順番を練っていきます。
先ずはエンジン部の黄色を塗装して、乾燥後にマスキングします。
次にカタパルトの薄ピンクを全体に塗装し、この後の赤の下地も兼ねる様にしました。
薄ピンクをマスキングして赤を塗装し基本塗装は完了です。
その後エンジンのタンク(?)を薄紫で塗装し。機銃やハンガーのハッチ等を塗分けました。
最後にスケールを考えて赤若干の黒を入れた暗い赤でパネルラインに墨入れをして完成です。
如何でしょうか!
1/1700位のスケールを想定して、自然に見える様に意識して仕上げました。
仮に1㎜の墨入れのはみ出しがあった場合、×1700すると1.7メートルの幅の色漏れがある事になりますので
実際にムサカが存在していた場合、塗装スタッフや清掃スタッフが上の人に怒られちゃいますよね。
スケール感を意識するのは重要だなと実感しました。
今回はお客様との打ち合わせの中で頭の中のイメージを上手く共有出来ましたので
ゴールがはっきりしている分、迷ったり手が止まる事も無くスムーズに完成出来ました。
勿論、お客様それぞれのお好みに応じて仕上げますので、パネルラインに下地色の黒を残す
所謂マックス塗での仕上げをご希望の場合でもその様に仕上げます。
オークション等で完成品を購入し、実際に手元に届いてみたらコレジャナイなんて思った方がいらっしゃいましたら是非弊社にご相談ください。
理想の1台に仕上げます。