駿東倶楽部 1/87 Scale 3D出力キット製作
今回ご紹介致します作品はライトトラックです。
1953年に開発された初代ライトトラックは、戦後復興が一段落し物流の合理化が注目され始めた頃に比較的長い荷台を備えた三輪トラックが小口輸送の主力であった時代にキャブオーバータイプによる長い荷台、四輪車の走行安定性、簡素な装備による経済性を備えたトラックの国民車として発売され、その実用性と経済性により一躍小口物流のエースとなり、三輪トラックに代わることになった1台です。
今回のご依頼品は鉄道関係のイベントで販売されたキットで最近ちょくちょく目にする機会も増えてきた3D出力のキットです。
とは言え弊社ではご依頼が多い訳ではなく、どちらかと言えば珍しい部類のご依頼です。
それでは早速解説を!
3D出力のキットは印刷の時間低減の為か、プラモデルのランナーの様なパーツ配置にはなっていません。どちらかと言うともっと立体的と言いますか、今回の例で言うと荷台の中に細々したパーツがくっ付いた塊の様な状態で出力されております。
組み立ての際はそのパーツを壊さない様に慎重に切り離して作業を進めていきます。
カット時の刃の衝撃でパーツが欠ける事もありますので、パーツの際では無く出来るだけ余裕を残して切り取ると失敗も少ないでしょう。
それぞれの部品をバラしたら次は下処理の工程です。
3D出力キットの最初の山場はパーツ表面の積層痕の処理です。
出力時はコンマ数ミリの層を重ねてパーツを作りますので、完成時のパーツ表面にも
地層の様な跡が残っておりそれを綺麗に磨き取って行くところから始まります。
商品のサイズもあって殆どのモールドが一体になった状態で出力されておりますので
そのモールドを潰したり削ったりしない様に表面の積層痕だけを綺麗に均していきますが
この工程が実に大変で根気のいる作業です。失敗しない様に細心かつ大胆に攻めていくのが醍醐味です。
下処理が終ったら次は省略されている箇所の再現です。
今回追加したのは荷台のフック左右10か所・アポロウインカー・バックミラー・フロントガラス補強ステー・ハンドルです。実車の資料を参考に大きさを割り出してそれっぽく作りました。
ヘッドライトはミラーフィニッシュをポンチで打ち抜いた物を貼り付けレンズ部はUVレジンで製作しました。
続いては塗装の工程です。
色味は産業技術記念館に展示されている車両の色味や当時物のカタログ等を参考にミリタリーっぽい色味のグレーグリーンで塗装しました。ザクのグリーンと言えばイメージし易いでしょうか。
塗装が終れば次は組立です。
鉄道模型のガラスパーツを切り出した物を使ってガラスを嵌め
事前にボディ側に1.4ミリのタップを切って置きましたので、ネジ締めして組立は終わりです。
最後にワイパーとお客様指定のナンバープレートを取り付けて完成です。
如何でしょうか!
単体で飾るもよし、当時を再現したジオラマやレイアウトの脇に置くも良しの一台が完成しました。
プラモデルやレジンキット・ブラスキットとはまた違った勝手の3D出力キットです。
買ったはいいものの…自分で作る自信が無いなぁという方は是非弊社にご相談ください!
バッチし素晴らしく仕上げてお納めいたします。